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短編小説、ゲーム攻略

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【金木犀(きんもくせい)の匂いがする】

time 2025/06/21

【金木犀(きんもくせい)の匂いがする】

第一章:秋、静寂に沈む大学

10月、京都のある大学構内で、文学部の助教・真壁清一(まかべ せいいち)が研究棟の一室で遺体となって発見された。ドアには鍵がかかっており、室内に荒らされた形跡はない。ただ一つ奇妙だったのは、真壁の手のひらに血で書かれた文字。

「ヨ」

警察は当初、他殺と事故の両面で捜査を進めた。しかし、部屋の内側からかけられた鍵、そして誰にも見られていない時間帯の犯行。事件は密室殺人として注目され始める。

第二章:4人の容疑者

刑事・白石(しらいし)は、真壁が生前接していた4人に話を聞くことにした。

1. 田ノ上遥(たのうえ はるか):真壁のゼミに所属する院生。穏やかな性格だが、最近は指導に強く叱責されていたらしい。
2. 西山克己(にしやま かつみ):真壁と論文の盗用問題で対立していた同僚。
3. 星川勇吾(ほしかわ ゆうご):清掃業者の青年。事件の起きた建物に頻繁に出入りしていたが、履歴に不審な点が。
4. 真壁紗英(まかべ さえ):被害者の妹。兄との確執があったが、事件当時のアリバイは曖昧。

「ヨ」という血文字。それが名前の一部なのか、あるいは何かの暗号か——。だが白石は、一つの事実に注目する。

第三章:ダイイングメッセージの謎

「ヨ」という文字は、被害者の左手で書かれていた。血は乾きかけていたが、明らかに無理な体勢で書かれており、最後の力を振り絞ったことがうかがえる。

ある日、白石はふと気づいた。「ヨ」はカタカナではなく、**ひらがなの「よ」**ではないか? しかも手書きでは下が大きくはね上がっており、どこか特徴的だった。

田ノ上遥がノートに書いた文字。それとそっくりだった。

第四章:思いがけぬ動機

田ノ上は、真壁のセクハラ行為を録音していた。しかし告発すれば自らの研究の場も失いかねない。彼女は葛藤していた。だがある夜、真壁に呼び出され、証拠を渡せと脅され——。

激しく口論の末、彼女は机上にあった金属製の文鎮で一撃を加えてしまった。すぐに逃げ出したが、真壁はまだ生きていた。

真壁は苦しみながら、わずかな手がかりを残した。「よ」と書けば、彼女の筆跡を知っている者ならたどりつけると。

そして数日後、白石の前で、田ノ上は目を伏せながら言った。

「彼の部屋、金木犀の匂いがしていました。あの夜、私がつけていた香水と同じ匂いが……。」

最終章:光と影

事件後、大学ではセクハラ対策委員会が発足し、真壁の過去の行為が次々と明るみに出た。田ノ上の行為は正当防衛にはあたらず、彼女は懲役3年、執行猶予5年の判決を受けた。

白石は事件現場の前に立ち、金木犀の香りに包まれながらつぶやいた。

「この匂いは、人を惹きつけもすれば、時に真実さえも包み隠すのかもな……。」

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