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【白い花の約束】短編小説

time 2025/05/10

【白い花の約束】短編小説

病院の窓から見える空は、どこまでも澄んでいた。

「今日も晴れてるね」

私はベッドの上で微笑みながら、彼に話しかけた。

「そうだね。でも、君はまだ外に出られないんだろ?」

彼――悠斗は、少し寂しそうに笑った。

「うん。でも、こうして話せるだけで十分だよ」

私は病室の白いカーテンを見つめながら言った。

悠斗とは、偶然の出会いだった。

ある日、病院の庭で本を読んでいた私に、彼が声をかけた。

「その本、面白い?」

「うん。ちょっと切ないけど、素敵な話」

「へえ、どんな話?」

それが始まりだった。

彼は毎日のように病室に来てくれた。私が外に出られない日も、窓の外から手を振ってくれた。

「退院したら、一緒に海を見に行こう」

彼はそう言って、私の手を握った。

「約束だよ」

私はその言葉を信じた。

しかし――

ある日、彼は病室に来なかった。

次の日も、その次の日も。

「悠斗くんは……?」

看護師さんに尋ねると、彼女は少し悲しそうな顔をした。

「……彼も入院していたのよ。でも、もう……」

その言葉の意味を、私はすぐには理解できなかった。

悠斗は、もうこの病院にはいない。

私は窓の外を見つめた。

そこには、彼がいつも立っていた場所があった。

そして、そこには――

白い花が、一輪だけ咲いていた。

まるで、彼が最後に残した約束のように。

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