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短編小説、ゲーム攻略

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【潮騒の囁き】短編小説

time 2025/05/10

【潮騒の囁き】短編小説

夜の海は、昼間とはまるで違う顔を見せる。波の音は不気味に響き、月明かりに照らされた水面は、まるで何かを隠しているかのようだった。

「本当にここで事故があったの?」

私は友人の翔に尋ねた。彼はスマホのライトを海に向けながら、低く笑った。

「十年前、この浜辺で女の人が溺れたんだってさ。助けを求める声が聞こえたのに、誰もいなかったらしい」

「やめてよ、怖い話は苦手なんだから」

私は腕を抱きしめる。潮風が冷たく、背筋がぞくりとした。

「でもさ、今でも聞こえるらしいよ。夜になると、波の音に混じって……」

その瞬間だった。

「……たすけて……」

波の音に紛れて、かすかな声が聞こえた。

「今の、聞いた?」

翔の顔が強張る。私は息を呑み、海を見つめた。

「……たすけて……」

確かに聞こえる。波の音ではない。誰かの声だ。

「冗談だろ……?」

翔がスマホのライトを海に向ける。だが、そこには何もない。

「帰ろう、もうやめよう」

私は翔の腕を掴んだ。だが、その瞬間、足元の砂が沈むような感覚がした。

「え……?」

足が動かない。まるで何かに掴まれているようだった。

「翔!助けて!」

必死に叫ぶ。しかし、翔は動かない。いや、動けないのだ。彼の目は恐怖に見開かれ、何かを見つめていた。

私はゆっくりと振り返る。

そこには、海から這い出す白い手があった。

「……たすけて……」

その声は、もう波の音に紛れていなかった。

それは、私たちのすぐそばで囁いていた。

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